儀式

季節が移っていく

歯止めの効かないまま

袖が落ちて行く

なんとなくのまま

 

其れは皐月の夕方

掻きむしった傷跡

見えるより前に

赤くなっていた

 

街が青に沈んでいく

冷める気配は無い

等々耐えきれずに

水を飲んでは溜息を吐く

 

午後の洗面所

頬で水滴が踊り落ちる

眼だけが開いている

眼だけが開いている

 

明日への蟠り

劈く飛行機の音

僕はとても

耐えきれない

 

夜は長い