2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

試合帰り

卯月も佳境。もう6時になると言うのに、外が悪戯に明るい。そんなことを頭の片隅に置いて、風呂に入った。いつもより早い時間だった。 僕は明るい風呂場が好きだ。勿論いつも明かりをつけて入るので明るいのは当たり前だが、そう言う意味ではなく、外が明る…

摂理

大切なものを何度も見失ってさ それに気付かず歩き疲れまた嘆く 生き方がどうしようもなくなってきた頃 しょうがなかったと自分の醜さを吐き捨てては もうドロドロに溶けた飴玉を舐めていく 気にしないって嘘ついた後に 気になってこじ開けた包装紙 きっとま…

オノマトペ

暮れ頃。青いまま落ちた空の色。黒が混ざっている。自転車で河川敷に土手の上を走っていると、雨が降ってきた。立ち漕ぎで駆けていると、学ランに雨が当たって、ポツポツ音がした。自転車の灯りが雨に当たって、キラキラ光った。その刹那的に移ろいでいく光…

夢見鳥

夜に意識を放ってから、朝が来て、意識がすっと戻ってくる。喉が焼けつくように痛い。最近ずっとそうだ。口内がまるでエイリアンの体表みたいに、ぐちゃぐちゃで、乾いている。 そんな風に朝が始まってしまうものだから、わざと不機嫌な顔をして階段を降りる…

金縛り

山の斜面に沿ってできた日本式の街並みが見えた。瓦と石垣と提灯とお屋敷と、あと何があったっけ。一回全部を黒で潰して、そこに青やら黄やらの絵の具を塗っていったみたいに、ただ、広い海だけが残る夜。僕はただ、海を見て、泳ぐ魚に移入したつもりでいる…