2018-01-01から1年間の記事一覧

バケモノの子

「あなたは両眼に意思と現実の矛盾を宿している。黝く揺れ続けている。わたしはそれを振り払ってあげようと、星の欠片と月の幻を渡した。あなたはそれを拒んで、代わりにわたしに跪いて、許しを請いたのだった。夜は長いねと足跡が言った。蛙が鳴く声が聞こ…

瞑想

久し振りにブログを更新してみようかなと思ったのでやります。 ・今日は7月24日。先週から夏休みに入ったけれど、立て続けに補習があって大変だ。手始めに先日行ってみたものの、まさかの「復習はせずに授業を進める」という授業内容で、「補習とは。。。」…

ジンジャーエール

「視界の右下で、乾いたイカの刺身を見てる。青いインクがそれに被さってる。でも邪魔じゃない。いつしかそれは、ゆっくりと、その涼しさを保ったまま、意識の淵に溶け込んでいた」 暴力や暴言。他界に存在する何かを傷つけることでしか自尊心を補給できない…

なにかが変わった気がした。確かになにかが変わったようだ。あの諂いが吹き飛んでいったを感じた。鈍い音だった。今年も青い紫陽花が咲いている。 「誰もいない道を歩いていたはずなのに、やけに人の気配がする。周りに建ち並ぶ家々の窓。朽ちた看板。剥がれ…

お祭り

ベットに入ろうとして二階に上がる階段を登っていると、不意に、二階の寝室からものすごく懐かしい匂いがした。季節が変わって新しくなった敷布団と、ベットの物入れの木の匂いが入り混じったような。懐かしくて、暖かかった。安心できた。そんな時、頭に思…

渇望:疑

心が渇いていく 午前1時のリビングで1人 結局整えられなかった内装 ぼんやり眺めては 心が渇いていく 心が渇いている 夏まではまだ遠いというのに 何処を見るわけでもなくただ 焦って眩暈の中 心が渇いている そろそろいいんじゃないか もう十分なんじゃない…

儀式

季節が移っていく 歯止めの効かないまま 袖が落ちて行く なんとなくのまま 其れは皐月の夕方 掻きむしった傷跡 見えるより前に 赤くなっていた 街が青に沈んでいく 冷める気配は無い 等々耐えきれずに 水を飲んでは溜息を吐く 午後の洗面所 頬で水滴が踊り落…

試合帰り

卯月も佳境。もう6時になると言うのに、外が悪戯に明るい。そんなことを頭の片隅に置いて、風呂に入った。いつもより早い時間だった。 僕は明るい風呂場が好きだ。勿論いつも明かりをつけて入るので明るいのは当たり前だが、そう言う意味ではなく、外が明る…

摂理

大切なものを何度も見失ってさ それに気付かず歩き疲れまた嘆く 生き方がどうしようもなくなってきた頃 しょうがなかったと自分の醜さを吐き捨てては もうドロドロに溶けた飴玉を舐めていく 気にしないって嘘ついた後に 気になってこじ開けた包装紙 きっとま…

オノマトペ

暮れ頃。青いまま落ちた空の色。黒が混ざっている。自転車で河川敷に土手の上を走っていると、雨が降ってきた。立ち漕ぎで駆けていると、学ランに雨が当たって、ポツポツ音がした。自転車の灯りが雨に当たって、キラキラ光った。その刹那的に移ろいでいく光…

夢見鳥

夜に意識を放ってから、朝が来て、意識がすっと戻ってくる。喉が焼けつくように痛い。最近ずっとそうだ。口内がまるでエイリアンの体表みたいに、ぐちゃぐちゃで、乾いている。 そんな風に朝が始まってしまうものだから、わざと不機嫌な顔をして階段を降りる…

金縛り

山の斜面に沿ってできた日本式の街並みが見えた。瓦と石垣と提灯とお屋敷と、あと何があったっけ。一回全部を黒で潰して、そこに青やら黄やらの絵の具を塗っていったみたいに、ただ、広い海だけが残る夜。僕はただ、海を見て、泳ぐ魚に移入したつもりでいる…